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ポントスの系譜

ポントスとガイアを祖とする系図。
系図および解説等は、「参考文献」をもとにしている。参考文献は「ギリシア・ローマ神話伝説」にまとめた。


　

ポントスの系図

　

　

※系譜の略号は下記

概説

海の擬人神ポントスと、大地の擬人神ガイアから始まる系譜。
彼らの子孫には、様々な怪物が名を連ねている。

名称・解説

この系譜で扱った神々や人物の名称、および簡単な解説を列挙。あいうえお順。
アルファベット表記は、ギリシア文字をローマ字に転写したもの。
名称 表記 性別 解説 参照
アストライオス Astraios 男 「星男」の意。クレイオスとエウリュビアーの息子。曙の女神エーオースを妻として、風と星の父となった。 系譜：Ti
イーリス Iris 女 虹の女神。タウマースとエレクトラーの娘。天と地を結ぶ女神として、神々の使者の役割を担った。ホメーロスではゼウスに、その後はヘーラーに仕えているとされる。 　
エウリュビアー Eurybia 女 ポントスとガイアの娘。夫はクレイオス。 系譜：Ti
エーオース Eos 女 曙の女神。アッティカ方言ではヘーオース（Heos）。ローマではアウローラ。 系譜：Ti
エキドナ Echidna 女 蛇女。上半身女で、下半身蛇の怪物。出生には諸説ある。 　
エーレクトラー Elektra 女 オーケアノスとテーテュースの娘。ダウマースの妻。 　
オルトロス Orthros 男 ゲーリュオーンの牛の群れの番検で、ヘーラクレースに退治された。テューポーンとエキドナの子。母エキドナと交わって、スピンクスの父となった。 　
ガイア Gaia 女 「大地」の神。ゲー（Ge）とも呼ばれる。神話中では、混沌（カオス）からはじめに生まれた原初の被造物であり、すべての神々も人間も彼女を祖とする。 系譜：Ti
カリロエー Kallirrhoe 女 オーケアノスとテーテュースの娘。夫はクリュサーオール。 　
キマイラ Chimaira 女 ライオンの頭、山羊の胴体、蛇の尾を持ち、口から火を吐く。ベレロポーンに退治された。 　
グライアイ Graiai 女 ポルキュスとケートの三人の娘の総称。パムプレードー（Pamphredo）、エニューオー（Enyo）、デイノー（Deino）を指す。 　
クラトス Kratos 男 「支配（権力）」の意。パラースとスティクスの息子。姉妹のビアー（暴力）とともに語られることが多い。 　
クリューサーオール Chrysaor 男 「黄金の剣を持つ者」の意。ポセイドーンとメドゥーサの子。ペルセウスがメドゥーサの首を切り落としたときに、ペーガソスとともに飛び出した。生まれたときに剣を振り回したとされる。 　
クレイオス Kreios 男 ウーラノスとガイアの息子で、ティーターン神族の一人。エウリュビアーを妻とする。 系譜：Ti
ケートー Keto 女 ポントスとガイアの娘。兄弟のポルキュス（ポルコス）の妻となった。クライアイ、ゴルゴーン、さらにヘスペリスの園の黄金のリンゴを守っていた竜を生んだ。 　
ゲーリュオーン Geryon 男 ゲーリュオネース（Geryones）、またはゲーリュオネウス（Geryoneus）とも呼ばれる。クリューサオールとカリロエーの息子。三つの頭と三つの体を持つ怪物。西の果て、オーケアノスの流れに近いエリュテイア（Erytheia、虹の島）に住む。多くの牛を飼っている。牛飼はエウリュティオン、番犬はオルトロス。ヘーラクレースがこの牛を取りに行った。三者ともにヘーラクレースに殺される。 　
ケルベロス Kerberos 男 冥府の入口の番犬。テューポーンとエキドナの子。50の頭もしくは100の頭を持つとされるが、古典期では頭は3つで、尾が蛇の形をして、首のまわりに無数の蛇が生えている。ヘーラクレースがこの犬を生け捕りにして世に行き出した。 　
ゴルゴーン Gorgon 女 もしくはゴルゴー（Gorgo）と呼ばれる。ポルキュスとケートの三人の娘の総称。ステンノー（Sthenno「強い女」）、エウリュアレー（Euryale「広くさまよう、あるいは遠くに飛ぶ女」、メドゥーサ「女王」の三人。ゴルゴーンは頭髪は蛇、歯は猪、大きな黄金の翼を持ち、見たものを石に変える。メドゥーサだけが不死ではなかった。 　
ステュクス Styx 女 冥界を七巻きに流れている大河。オーケアノスとテーテュースの娘。テティスはこの川にアキレウスをつけて半不死身にした。実際のステュクスはアルカディアのノーナクリス（Nonakris）近くケルモス（Chelmos）山の北東の壁から流れる川。 　
スピンクス Sphinx 女 頭は人間で体はライオンの怪物（スフィンクス）。非常に古い段階で、エジプトからギリシアに入り女性化された。テーバイ伝説では、オイディプースによって退治された。 　
ゼーロス Zelos 男 「競争心」を擬人化した神。パラースとステュクスの子。 　
タウマース Thaumas 男 ポントスとガイアの子。エーレウクトラーを妻とした。 　
テューポーン Typhon 男 もしくはテュポーエウス（Typhoeus）。神々がギガース（巨人）たちを征服したときに、ガイアが怒ってタルタロスと交わりキリキアで生んだ。人と野獣の混合した巨大な怪物。 　
ドーリス Doris 女 オーケアノスの娘。夫はネーレウス。50人（あるいは100人）の娘、ネーレーイスたちを生んだ。 　
ニーケー Nike 女 「勝利」を擬人化した女神。ローマのウィクトーリア。翼をもつ若い女神として彫刻などに表わされる。 　
ネメアのライオン Nemea 男 テューポーンとエキドナの子。ヘーラクレースが12功業のなかで退治したネメアのライオン。ネメアの谷に住む不死身の猛獣。 　
ネーレイデス Nereides 女 「ネーレウスの娘」を意味するネーレーイス（Nereis）の複数形。ネーレウスとドーリスの50人、あるいは100人の娘たちの総称。 　
ネーレウス Nereus 男 ポントスとガイアの子。ホメーロスには海の老人と呼ばれ、賢明で、温和で、予言の力があった。ドーリスを妻として50人（あるいは100人）の娘、ネーレーイスたちを生んだ。海の底、特にエーゲ海に住んだ。船乗りの保護者であり、姿を自由に変えることができた。 　
パラース Pallas 男 クレイオスとエウリュビアーの子。ティーターン神族の一人。ステュクスを妻とした。 系譜：Ti
ハルピュイア Harpuia 女 「かすめる女」の意。風の精であったらしい。タウマースとエーレクトラーの子。アエロー「疾風」とオーキュペテー「素早く飛ぶ女」の2人、もしくはケライノー「暗い、黒い女」を加えた3人。翼ある乙女、あるいは頭部だけ女の鳥と考えられていた。 　
ビアー Bia 女 「暴力」を擬人化した女神。パラースとステュクスの娘。姉妹であるクラトス「支配（権力）」とともに描かれることが多い。常にゼウスに従う。 　
ヒュドラー
（レルネーの）		 Hydra 女 「水蛇」の意。特にヘーラクレースが12功業のなかで退治したレルネーの湿地帯にすむヒュドラーを指す。 　
風神たち anemoi 男 アネモイ（風たち）。ゼウスの命によって働き、トラーキアの洞窟にすみ、風を支配している。ゼピュロス（西風）、ボイアース（北風）、のトス（南風）。 　
ヘカテー Hekate 女 ペルセースとアステリアーの娘。ヘーシオドスで特に称えられる。彼女は人間にあらゆる面で幸を与えた。天上、地上、海中のあらゆる場所での力を有したが、冥界と関連付けられている。三叉路に、雌犬、雌馬、雌狼となって人間に姿を現すと考えられた。三つの身体を持ち、三方を眺める姿で彼女は表わされることが多い。 　
ヘオースポロス Heosphoros 男 暁の明星。エーオースとアストライオスの子。クレオボイア（Kleoboia）を妻とした。 　
ペーガソス Pegasos 男 翼のある神馬。ペルセウスがメデゥーサの首をはねたときそこから、もしくは流れた血から生まれた。ペイレーネーの泉で水を飲んでいるときに、ベレロポーンにとらえられて彼の馬となった。ペーガソスのひずめで打たれることで生じた泉がいくつか伝えられている。ペーガソスは天上の星座となった。ローマ時代にはペーガソスは不死のシンボルだった。 　
ペルセース Perses 男 クレイオスとエウリュビアーの息子で、アステリアーを妻とする。 系譜：Ti
ポセイドーン Poseidon 男 ゼウスに次ぐオリュンポスの神クロノスとレアーの子。兄弟とともに世界の支配権を父より奪い、くじで海の支配権を得た。ローマではネプトゥーヌスと同一視される。ポセイドーンは海のみならず、あらゆる泉の支配者でもあり、また地震の神、馬の神でもある。そのために、彼にはエノシクトーン（Enosichthon「大地を揺すぶるもの」）、ガイエーオコス（Gaieochos「大地の所有者」）、ヒッピオス（Hippios「馬の神」）、クレーヌーコス（Krenuchos「泉の所有者」）、ニュムパーゲーテー（Nymphagete「ニンフの指導者」）などの呼称がある。妻はアムピトリーテー。ポセイドーンは多くの女と交わったが、そこから生まれた子は、怪人か野蛮な人間か馬である。 系譜：Ol
系譜：Kr
ポルキュス Phorkys 男 海の神。ポントスとガイアの子。姉妹であるケートーを妻とした。 　
ポントス Pontos 男 「海」の擬人神。ガイアとアイテールの子。ガイアを妻とした。 　
メドゥーサ Medusa 女 ポルキュスとケートの三人の娘ゴルゴーンの一人。頭髪は蛇、歯は猪、大きな黄金の翼を持ち、見たものを石に変える。ペルセウスがメドゥーサの首を切り落として殺した。 　

系譜：Ath＝アタマースの系譜
系譜：De＝デウカリオーンの系譜
系譜：Dei＝デーイオーンとミニュアースの系譜
系譜：Kr＝クレーテウス、テューロー、ポセイドーンの系譜
系譜：Ol＝オリュンポス神族の系譜
系譜：Pe＝ペルセウス、ヘーラクレースの系譜
系譜：Po＝ポントスの系譜
系譜：Sis＝シーシュポスの系譜
系譜：Th＝テーバイ王家の系譜
系譜：Ti＝ティーターン神族の系譜

関連事項

神名・人名・解説 神名・人名・解説
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このページの最終更新　2007/9/10
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