このページでは、ギリシア・ローマ神話に関して紹介いたします。
ところで、ギリシア神話とローマ神話とはどのように違うのでしょうか。とても難しい問題です。今日ではほとんど区別なく、ひとくくりで「ギリシャ神話」と言われることもあります。また、神話と伝説とはどのように異なるのでしょうか。このような問題も少しずつ取り上げていきたいと思います。
すべての古典文学作品は、何らかの形でギリシア・ローマ神話、伝説と関係しています。詩人は神話を新たに解釈し、新たな物語を加えながら語ります。古代において(今日においても)、神話・伝説は「生きたもの」として創造されました。
神話の本質はそこから遠いころにあって、神話は誰かの知識によって専有されたり、知識を解さなければ理解できないものではなく、誰にでも実感できるはずのものであるからだ。神話学的知識は神話を過去の世界へ押しやってしまうが、神話の本質は過去の世界ばかりでなく現在の世界をも律しているはずであり、私たちはたったいまも神話的事実に取り巻かれて存在していると同時に、私たちこそは神話的事実を生きているのだ。このことは今後も繰り返し述べるつもりだが、ほんの一例を挙げておこう。神話はしばしば人間を死すべきものと規定する。私たちが死すべき存在であるということは、知識によって納得するよりも、機会があるたびに私たちが実感するものである。自分が死すべきものでないと実感している人間が、どこにいるであろうか?
(河島英昭、『叙事詩の精神』、岩波書店、1990、pp.127-28)
以下では、神話・伝説を「実感」する手がかりになるかかと思う考察と資料を、順次ご紹介します。
系譜は、古典作品を読むときなどにしばしば役立ちます。古典作品中では系譜が自明のごとく語られることも多いからです。
また、ギリシア・ローマ神話伝説が体系を有することはとても重要なことのように思われます。さまざまな物語が複雑に絡み合いうように、創造され、発展してきたことを表しているからです。そしてその創造と発展を、詩人たちが担ってきました。ギリシア・ローマ文学が取り扱う主題のひとつは、神話・伝説なのです。
≪特記事項≫
・もっとも代表的な系譜を掲載。異説がある場合も多々ある。
・系図や解説は下記の「参考文献」、特に高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』に基づいている。
・名称はギリシア名に統一した。
・各タイトルをクリックすると系図と解説のページが開く。