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クレーテウス、テューロー、ポセイドーンの系譜

クレーテウス、テューロー、ポセイドーンを祖とする系図。
系図および解説等は、「参考文献」をもとにしている。参考文献は「ギリシア・ローマ神話伝説」にまとめた。


 

クレーテウス、テューロー、ポセイドーンの系図




系譜:Ol》=オリュンポス親族の系譜
系譜:Th》=テーバイ王家の系譜
系譜:Pe》=ペルセウス、ヘーラクレースの系譜
デウカリオーンの系譜
カリュケーの系譜


概説

クレーテウス、テューロー、ポセイドーンを祖とする系図。
アルゴナウテースたちの遠征や、テーバイ攻めに参加した人々が連なる。

アルゴナウテースたちの遠征物語
イアーソンとともに人類が最初に造ったと言われる大船アルゴーに乗って、金羊毛を求めに行った英雄たち。アルゴナウテース(Argonautes)は「アルゴーの乗組員」を意味する。
時代はトロイア戦争以前。アイソーンは異父兄弟のペリアースにイオールコス(Iolkos)の王国を奪われた。その息子イアーソンが王位の返還を求めると、ペリアースはアイエーテース王が持つ金羊毛を要求する。そこでイアーソンはギリシア中から英雄を集め、巨大な船をテッサリアの海港パガサイ(Pagasai)でアルゴスに造らせた。船はアルゴスが造ったので「アルゴー船」という名を持つ。「アルゴナウテースたちの遠征」は、この金羊毛を取りに行き、帰ってくる道中で繰り広げられた様々な物語。アポローニオス・ロディオスの『アルゴナウティカ』はこの物語を描いている。

テーバイ攻めの七将
オイディプースがテーバイの王国を追われたあとで、エテオクレースとポリュネイケースの兄弟は毎年交代で王国を支配することを約束した。しかし、エテオクレースはポリュネイケースに王位を譲らず、ポリュネイケースはアルゴス王アドラストスのもとに逃れ、彼の娘を妻とした。その後、アドラストスを総大将としてアルゴスはテーバイに攻め込む。その主力を為した七将は、アドラストス、ポリュネイケース、テューデウス、パルテノパイオス、カパネウス、ヒッポメドーン、アムピアラーオス。この物語を描いたのが、アイスキュロスの悲劇『テーバイに向かう七将』。この戦いはアルゴス側が敗北したが、その復讐のために十年後、彼らの子供たちエピゴノイが再びテーバイを攻め込み、勝利した。


名称・解説

この系譜で扱った神々や人物の名称、および簡単な解説を列挙。あいうえお順。
アルファベット表記は、ギリシア文字をローマ字に転写したもの。


名称 表記 性別 解説 参照
アイエーテース Aietes 太陽神ヘーリオスとペルセーイス(オーケアノスの娘)の子。はじめコリントス王であったが、後にコルキス(=アイア)王となった。妻は諸説ある。メーデイア、アプシュルトス、カルキオペーの父。アルゴナウテースたちが求めた金毛の羊の皮は彼が持っていた。 系譜:Ath
アイオリアー Aiolia アミュターオーンとエイドメネーの娘。カリュドーンの妻。 系譜:Kal
アイオロス Aiolos ヘレーンとオルセーイスの子。アイオリス(Aiolis)人の祖。妻はエナレテー(Enarete)。風の支配者アイオロスと同一視されることもある。 系譜:De
系譜:Ath
系譜:Dei
系譜:Sis
系譜:Kal
アイソーン Aison クレーテウスとテューローの子。妻はポリュメーデー。ときにアルキメデーとも言われる。異父(ポセイドーン)の兄弟ペリアースに王権を奪われ、殺されそうになったときに、雄牛の血を飲んで自殺した。息子はイアーソーン。 系譜:Dei
アカストス Akastos ペリアースとアナクシビアー(Anaxibia)の子。父の意に反してアルゴナウテースたちの遠征に加わった。カリュドーンのイノシシ狩りにも加わった。イオールコスの王。 系譜:Dei
アカルナーン Akarnan アルクマイオーンとカリロエーの子。父アルクマイオーンがプロノオスとアゲーノールに殺害されたとき、妻はゼウスに祈願して二人の息子を一挙に大人に成長させて復讐した。   
アステュダメイア Astydameia イオールコス王アカストスの妻。   
アドメートス Admetos テッサリアのペライ(Pherai)の王。ペレースとペリクリュメネーの子。カリュドーンのイノシシ狩りとアルゴナウテースたちの遠征に加わった。アポローンはキュクロープスたちを殺した罪を償うために、一年間アドメートスの下僕となった。妻はアルケースティス。   
アドラストス Adrastos タラオスとリューシマケーの子。アルゴスの王。テーバイへ向かう七将の総大将。妻はアムピテアー。アドラストスとビアースとメラムプースの三つの家がアルゴスを分割統治していたが、やがて紛争が生じ、アドラストスはシキュオーン(Sikyon)王のもとに逃れた。その後王国を譲られた。また、アムピアラーオスと和解してアルゴスに戻り、妹のエリピューレーを彼と結婚させた。また、ポリュネイケースが国を追われてアドラストスを訪ねてアルゴスに来た後、予言に従って娘アルゲイアーをポリュネイケースに嫁がせた。また、テーバイ攻めの七将の総大将として、テーバイに侵攻した。 系譜:Kal
アナクシビアー Anaxibia ビアースとエイドメネーの娘。ペリアースの妻。アカストスの母。   
アバース Abas (一)リュンケウスとヒュペルムネーストラーの子。アルゴス(Argos)の12代目の王。彼は両祖父であるダナオスとアイギュプトスの争いを解決し、ペルセウス家の祖となった。
(二)この系譜のアバースは上記のひ孫。メラムプースとイーピアナッサ(もしくはイーピアネイラ)の子。
系譜:Th
系譜:Pe
アミュターオーン Amythaon クレーテウスとテューローの子。妻はエイドメネー(一)。 系譜:Kal  
アムパルケース Amphalkes アルゴス王アンティパテースとゼウクシッペーの息子。  
アムピアラーオス Amphiaraos または、アムピアレオース(Amphiareos)。アルゴスの英雄で預言者。オイクレースとヒュペルメーストラーの子。アドラストスの家と争って、その父タラオスを殺したときに、アドラストスはシキュオーンに逃れたが、後に和解して彼の妹エリピューレーを妻とした。アドラストス率いるテーバイ攻めに参加した。   
アムピロコス Amphilochos アムピアラーオスとエリピューレーの子。エピゴノイの戦いに参加した。有名な預言者でもあった。トロイア戦争に参加し、トロイア陥落後カルカースとともに小アジアのクラロス(Klaros)で預言所を開いた。   
アムピテアー Amphithea アドラストスの妻。  
アムポテロス Amphoteros アルクマイオーンとカリロエーの子。アカルナーンの兄弟。  
アリストマコス Aristomachos タラオスとリューシマケーの子。アドラストスの兄弟。  
アルキメデー Alkimede ピュラコスとクリュメネーの娘。アイソーンの妻となり、イアーソーンを産んだ。 系譜:Dei
アルクマイオーン Alkmaion もしくは、アルクメオーン(Alkmeon)。アムピアラーオスとエリピューレーの子。エピゴノイの戦いでは、彼はエテオクレースの子ラーオダマースを打ち取り、市を攻略し、ポリュネイケースの子テルサンドロスを王位につけて帰国した。はじめプソーピス(Psophis)王ペーゲウスの娘アルシノエーを娶ったが、後にアケローオス河神の娘カリロエーを娶る。  
アルゲイアー Argeia アドラストスとアムピテアーの娘。ポリュネイケースの妻。  
アルケースティス Alkestis ペリアースとアナクシビアーの娘。ペライ(Pherai)王アドメートスの妻。  
アレイオス Areios ビアースとペーローの子。  
アンティパテース Antiphates メラムプースとイーピアナッサの子。妻はゼウクシッペー。  
イアーソーン Iason アイソーンとポリュメーデー(もしくは、アルキメーデー)の子。アイオロスの末裔。父アイソーンは異父兄弟のペリアースにイオールコス(Iolkos)の王権を奪われた。ペーリオン山中でケンタウロス族の賢者ケイローンに育てられ成人したイアーソーンはペリアースに王国の返還を求めた。その時にペリアースは彼に黄金の洋皮を取ってくるように要求した。そこで、イアーソーンはギリシア中から英雄を集め、巨大なアルゴー船で船出した。この物語がアルゴナウテースたちの遠征(アルゴナウティカ)である。彼はメーデイアを娶って帰還し、その後ペリアースを殺したためにイオールコスを追われたイアーソーンはメーデイアはコリントスに行く。その後、コリントス王クレオーンの娘クレウーサを妻にしようとしてメーデイアはメルメロスとペレースの二人の子供を殺した。この物語は、『メーデイア』の悲劇などで有名。イアーソーンはディオスクーロイの援助を得てイオールコスの町を襲って、彼(もしくは彼の子テッサロス)は王となった。 系譜:Dei 
イドモーン Idmon イドモーンとは「しっている人」の意。有名な預言者。アポローンとアステリアー(もしくは、キューレーネー)の子。人間の父親としては、父親はアバースとされている。預言者であったために、自分の死を知りながらもアルゴナウテースたちの遠征に加わり、死んだ。  
イーピアナッサ Iphianassa ティーリュンス王プロイトスとステネボイアの娘。プロイティデスの一人。他の姉妹とともに気が狂い、メラムプースに治療された。その後メラムプースの妻となったとされるが、メラムプースの妻はイーピアネイラともされる。 系譜:Pe
イーピアネイラ Ipianeira メガペンテースの娘。夫はメラムプースとされるが、彼の妻はイーピアナッサともされる。 系譜:Pe
エイドメネー Eidomene (一)アミュターオーンの妻
(二)ペレースとペリクリュメネーの娘。
 
エウネオース Eudeos イアーソーンとヒュプシピュレーの子。母のヒュプシピュレーがネメア(Nemea)王リュクールゴスに奴隷として売られ、仕えているときに、エウネオースと兄弟が来て母親を救い出した。  
エウリュアロス Euryalos アルゴスのメーキステウスの子。アルゴナウテースたちの遠征、エピゴノイの戦いに参加し、後にディオメーデースとともにトロイアにも遠征した。  
エウリュディケー Eurydike クリュメネーやクレウーサなどと同じく、系譜や伝説の間を埋めるために多く女性に与えられる名前。
アムピアラーオスとエリピューレーの娘。
 
エリピューレー Eriphyle アルゴス王タラオスとリューシマケーの娘。アムピアラーオスの妻となった。  
オイクレース Oikles アンティパテースとゼウクシッペーの子。妻はヒュペルメーストラー。オイクレースはヘーラクレースのトロイア遠征に参加した。  
カリュドーン Kalydon アイトーロスとプロノエーの息子。アイトーリア(Aitolia)の都市カリュドーンの祖となった。この地で有名なカリュドーンのイノシシ狩りが行われた。妻はアミュターオーンの娘アイオリアー。 系譜:Kal
カリロエー Kallirrhoe アケローオス河神の娘。夫はアルクマイオーン。  
クレーテウス Kretheus アイオロスとエナレテーの子。テッサリアの都市イオールコス(Iolkos)の創建者。兄弟のサルモーネウスの娘テューローを妻とした。両者からアイソーン、ペレース、アミュターオーンが生まれた。 系譜:De
クローリス Chloris オルコメノス(Orchomenos)王アムピーオーンの娘。夫はネーレウス。  
コイラノス Koiranos メラムプースの息子アバースの子。  
サルモーネウス Salmoneus アイオロスとエナレテーの子。はじめテッサリアに住んでいたが、後にエーリスに移り、サルモーネー(Salmone)の町を建設した。妻はアルキディケー。ゼウスに対して高慢な態度を取ったために、ゼウスはサルモーネウスと町とを滅ぼした。 系譜:De
ステロペー Sterope もしくは、アステロペー(Asterope)。アカストス王とアステュダメイアの娘。  
ゼウクシッペー Zeuxippe ヒッポコーンの娘。夫はアンティパテース。  
タラオス Talaos ビアースとペーローの子。妻はアバースの娘リューシマケー。アルゴナウテースたちの遠征の一人。  
ディオメーデース Diomedes テューデウスとデーイピュレーの息子。ホメーロスの『イーリアス』のなかでは、アキレウスに次ぐギリシア方の英雄で、オデュッセウスの友人。ディオメーデースの祖父オイネウスは、支配していたカリュドーンの王権をアグリオス(Agrios)の息子たちによって奪われた。そのために、ディオメーデースはアルクマイオーンとともにアグリオスの息子たちを殺した。オイネウスはすでに老齢だったので、王国を彼の娘ゴルゲーの婿アンドライモーンに与えた。オイネウスが死んだときに、死体をアルゴスに運んで、彼の名を取ったオイノエー(Oinoe)の町に埋葬した。それから、彼はアドラストスの娘アイギアレイアーと結婚した。その後、アルクマイオーンを総大将とするアルゴスの七将(エピゴノイ)のテーバイへの遠征に、さらにトロイア戦争に参加する。 系譜:Kal
デーイピュレー Deipyle アルゴス王アドラストスとアムピテアーの娘。オイネウスの息子テューデウスと結婚し、ディオメーデースを産んだ。  
デーモナッサ Demonassa アムピアラーオスとエリピューレーの娘。夫は、ポリュネイケースの息子テルサンドロス。  
テューデウス Tydeus カリュドーンの王オイネウスとペリボイアの息子。妻はデーイピュレー。息子はディオメーデース。彼は殺人を犯したために国を追われたとされる。その後アルゴスに逃れ、アドラストスの娘デーイピュレーと結婚した。テーバイ攻めの七将の一人。  
テューロー Tyro サルモーネウスとアルキディケー(Alkidike)の娘。父の兄弟クレーテウスに育てられた。エニーペウス河に恋をしていたが、ポセイドーンが河神に変身して交わり、ペリアースとネーレウスの双子を産んだ。それからテューローはクレーテウスの妻となった。  
テルサンドロス Thersandros ポリュネイケースとアルゲイアー(アドラストスの娘)の息子。テーバイ市を攻略してアムピアラーオスの娘デーモナッサ(Demonassa)を娶った。ウェルギリウスは、テルサンドロスがトロイア戦争に参加し、木馬の勇士の一人になったという。 系譜:Th
トアース Thoas イアーソーンとヒュプシピュレーの息子。母のヒュプシピュレーがネメア(Nemea)王リュクールゴスに奴隷として売られ、仕えているときに、兄弟のエウネオースとともに母親を救い出した。  
ネストール Nestor ピュロス王ネーレウスとクローリスの息子。ヘーラクレースがピュロスを襲ったときに、12人の兄弟のうち、彼のみが不在だったために助かった。彼は牛を盗みにきたエーリスのエペイオス(Epeios)人と戦った。またラピテース族とケンタウロス族との戦闘に参加、またアルカディアの巨人エレウタリオーン(Ereuthalion)を一騎打ちで殺した。また、トロイア戦争には、老齢であったにもかかわらず、二人の息子とともに参加した。彼はアポローンによって人間の三代分生きた。妻はクリュメノスの娘エウリュディケーとされるが、諸説ある。 系譜:Ath
ネプロニオス Nephronios もしくは、ネブロポノス(Nebrophonos)。イアーソーンとヒュプシピュレーの息子。兄弟のエウネオースとともに、ネメア王リュクールゴスに隷属していた母親を助けた。  
ネーレウス Neleus テューローとポセイドーンの息子。ペリアースの双子の兄弟。テューローは双子を捨てたが、馬飼いに拾われて育てられた。兄弟は争い、ネーレウスはメッセーネー(Messene)に逃れて、ピュロス(Pyros)を建設し、アムピーオーンの娘クローリスを妻とし、ペーローと12人の子供を得た。 系譜:Ath
パルテノパイオス Parthenopaios テーバイにむかう七将の一人。タラオスとリューシマケーの子。  
ビアース Bias アミュターオーンとエイードメネーの子。メラムプースの兄弟で、彼と行動を共にし、メラムプースの予言の力でネーレウスの娘ペーローを妻とすることができた。その後、プロイトスの娘たちが狂気に陥ったとき、メラムプースの治療の力で治し、プロイトスの王国の三分の一をもらった。その時に、ビアースはプロイトスの娘エイドメネー(またはリューシッペー)を妻とした。  
ヒッポダメイア Hippodameia アドラストスとアムピテアーの娘。ペイリトオスの妻。ケンタウロス族とラピテース族の戦闘の原因は彼女。  
ヒッポメドーン Hippomedon アリストマコスの子。テーバイに向かう七将の一人。テーバイ包囲中にイスマロスによって殺された。  
ヒュプシピュレー Hypsipyle レームノス(Lemnos)島の王トアースとミュリーリネーの娘。この島の女は女神アプロディーテーの崇拝を怠ったために臭気を発するようになった。そこで男たちはレームノスの女を捨てたが、それに怒った女たちは父や夫を殺した。しかしヒュプシピュレーのみが父親を隠して逃した。その後、彼女はこの島の女王となった。アルゴナウテースたちがこの島に来た時に、彼女たちと交わって、ヒュプシピュレーはイアーソーンとの間に二子を産んだ。それから、父親を逃がしたことが島の女たちに知られ、彼女は島を逃れる。海賊に捕まったヒュプシピュレーはネメア王リュクールゴスに奴隷として仕えていた。その母親を探していた二人の息子がネメアを訪れた。その時、テーバイに向かう七将がちょうどその地を通過していたのだが、七将の一人アムピアラーオスが仲介してヒュプシピュレーと息子たちは再会することができた。  
ヒュペルメーストラー Hypermestra もしくは、ヒュペルムネーストラー(Hypermnestra)。プレウローン王テスティオスの娘。夫はオイクレース。  
プローナクス Pronax タラオスとリューシマケーの息子。  
ペイリトオス Peirithoos もしくは、ペリトゥース(Perithus)。テッサリアのラピタイ族の王。ゼウスとディーア(Dia)の子。カリュドーンのイノシシ狩りに参加。テーセウスの親友。ペイリトオスがヒッポダメイアと結婚するときに開いた宴にケンタウロスたちを招いた。このときにケンタウロスの一人が酒に酔ってヒッポダメイアに手を出そうとしたので、ラピタイ族とケンタウロスたちの戦闘が起こった。その後、ペイリトオスはテーセウスとアマゾーン族との戦いに参加した。  
ペリアース Pelias テューローとポセイドーンの息子。ネーレウスと双子の兄弟。テューローは双子を捨てたが、馬飼いに拾われて育てられた。馬飼いの馬が赤子を踏んであざ(ペリオン)を作ったので、彼の名はペリアースとなった。双子の兄弟はその後争い、ペリアースはネーレウスを追放して、母テューローと結婚していたクレーテウスの造ったイオールコス(Iolkos)の町の王座をアイソーンから奪った。それからアナクシビアーと結婚した。イアーソーンがペリアースに王権の返還を求めた際に、彼はイアーソーンに黄金の羊皮を取ってくるようにと命じた。アルゴナウテースたちの遠征はこのことによって生じる。  
ペリクリュメネー Periklymene ペレースの妻、アドメートスの母。  
ペリクリュメノス Periklymenos ネーレウスとクローリスの息子。彼は祖父のポセイドーンから身体を自由に変身させる力を授けられていた。ヘーラクレースがネーレウスの王国ピュロスを攻めたときに、自在に変身して戦ったが、ヘーラクレースに殺された。  
ペレース Pheres (一)クレーテウスとテューローの息子。テッサリアのペライ(Pherai)の町の創建者。
(二)メーデイアとイアーソーンの息子。兄弟のメルメロスとともに母親に殺された。
 
ペーロー Pero ネーレウスとクローリスの娘。ビアースは彼の兄弟メラムプースの助けによって彼女を妻とした。後に、彼はアルゴス王プロイトスの娘エイドメネーと結婚した。  
ポリュネイケース Polyneikes オイディプースとイオカステーの息子。兄弟のエテオクレースとテーバイの王位を争った。アルゴスの助けを借りてテーバイに迫り、エテオクレースとの一騎打ちのすえ、両者ともに死んだ。 系譜:Th
ポリュボイア Polyboia オイクレースとヒュペルメーストラーの娘。  
ポリュポイテース Polypoites ペイリトオスとヒッポダメイアの息子。父がケンタウロスたちをペーリオン山から追い払った日に生まれた。成人して父の王位を継ぎ、ヘレネーに求婚し、トロイア戦争に参加し、パトロクロスの葬礼競技にも参加した。木馬の勇士の一人。  
ポリュメーデー Polymede アウトリュコスの娘。夫はアイソーン。イアーソーンの母。夫が自殺したとき、ペリアースを呪って自殺した。  
マンティオス Mantios メラムプースとイーピアナッサ息子。  
ミュリーネー Myrine クレーテウスとテューローの娘。レームノスの王トアースの妻。レームノス島には、彼女の名前をとった町がある。  
メーキステウス Mekisteus タラオスとリューシマケーの息子。テーバイに向かう七将の一人。  
メーデイア Medeia コルキス王アイエーテースとイデュイアの娘。太陽神ヘーリオスの孫。キルケーの姪。後代の説では、母はヘカテー。メーデイアは魔法に通じ、その力でアルゴナウテースたちの遠征を行なっていたイアーソーンを助けた。彼女とイアーソーンの結婚式は、パイアーケス王アルキノオスの宮殿で行われた。彼女はイアーソーンとイオールコスに帰ると、ペリアースに復讐した。そのために、イアーソーンとメーデイアはイオールコスから追われ、コリントスへと逃れた。その地で、コリントス王クレオーンが娘のグラウケー、あるいはクレウーサをイアーソーンの妻にしようとしたので、彼女は新妻とクレオーンと二人の子を殺して、アテーナイ王アイゲウスのもとへと逃れた。この物語がエウリピデースの悲劇『メーデイア』。その後メーデイアはアテーナイ王アイゲウスと結婚し、メードスを産んだ。母子はアジアに帰り、メードスはメーディア(Media)人の祖となった。  
メラムプース Melampus アミュターオーンとエイドメネーの子。メラムプースは「黒い足」の意。彼が生まれたとき日陰に置いたのに足だけ日にあたって黒くなったことに由来する。彼は鳥獣の声を理解するようになり、さらに犠牲獣の内臓による占いを習い、アルペイオス河のほとりでアポローンに会って、並ぶもののない預言者となった。さらに、病人を治療する術を身をつけた。その術を利用して弟のビアースがネーレウスの娘と結婚できるように助力した。その後、ティーリュンス王プロイトスの娘たちが狂気となったときに、兄弟それぞれがティーリュンスの三分の一づつを得ることを条件に娘たちの狂気を直した。メラムプースはプロイトスの娘イーピアナッサ(イーピアネイラ)を妻とした。  
メルメロス Mermeros イアーソーンとメーデイアの息子。彼は兄弟のペーレウスとともに母メーデイアによって殺された。  
ラーオダメイア Laodameia アカストスとアステュダメイアの娘。テッサリアの王イーピクロスの息子プローテシラーオスの妻。結婚早々プローテシラーオスがトロイア戦争に遠征し、戦死した。3時間だけ夫をこの世に返すことを神々に乞い、彼が再び冥府に帰るときに、その腕に抱かれて自害した。 系譜:Dei
ラーオドコス Laodokos ビアースとペーローの息子。  
リュクールゴス Lykurgos ペレースとペリクリュメネーの息子。ネメアの王。リュコス(Lykos)と呼ばれることもある。妻はアムピテアー。  
リューシマケー Lysimache アバースのむすめ。夫はタラオス。  

系譜:Ath=アタマースの系譜
系譜:De=デウカリオーンの系譜
系譜:Dei=デーイオーンとミニュアースの系譜
系譜:Kr=クレーテウス、テューロー、ポセイドーンの系譜
系譜:Ol=オリュンポス神族の系譜
系譜:Pe=ペルセウス、ヘーラクレースの系譜
系譜:Po=ポントスの系譜
系譜:Sis=シーシュポスの系譜
系譜:Th=テーバイ王家の系譜
系譜:Ti=ティーターン神族の系譜


関連事項

神名・人名・解説 神名・人名・解説


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このページの最終更新 2007/12/23
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