新刊の紹介。網羅的なものではなく、気がついた順で、河島の覚書程度のものです。
西洋古典関係のものが中心ですが、その他にも個人的に興味を持ったものをジャンルに関係なく掲載しています。
過去の新刊案内:2013 2012 2011 2010 2009 2008
各書籍にはAmazonへのリンクが張ってありますので、詳細はそちらでご確認ください。
新刊についてはtwitterでも配信しています。
· 中務哲郎『極楽のあまり風――ギリシア文学からの眺め――』ピナケス出版、2014/11
· エティエンヌ・ジルソン、山内志朗(監訳)、『キリスト教哲学入門:聖トマス・アクィナスをめぐって』、慶應義塾大学出版会、2014/07
· ロレイン・ハリソン、上原ゆうこ(訳)『ヴィジュアル版 植物ラテン語事典』原書房、2014/09
待望の新訳が登場!
· 原 基晶(訳)、『ダンテ、神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)』、講談社、2014/06/11
ダンテの『神曲』はイタリア文学においてもっとも重要な詩のひとつ。その新訳が刊行されます。地獄篇に続き、煉獄篇、天国篇も近刊。
訳者の原基晶氏は、現在東海大学文学部ヨーロッパ文明学科に所属するイタリア文学研究者です。
以下はAmazonに載せられている内容紹介、著者紹介です
【内容紹介】
イタリアの生んだ最高の詩人ダンテが14世紀初めに著した『神曲』は「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の3篇からなり、さらに各篇は33歌からなりますが、「地獄篇」冒頭に置かれた三篇の全体の序歌を加えれば、合計100歌となります。詩型は三行一連で全体では1万4233行におよび、文学、美術、現実の政治等に多大な影響を与えた、キリスト教文学の最高峰とされる叙事詩です。
主題は生身の存在であるダンテが、地獄、煉獄、天国の三界、すなわち彼岸の世界を遍歴した末に、ついには神との出会いを果たすというところにあり、歴史的事実を死後の世界に投影した詩を通じて、人類に正しい道を指し示そうとした作品です。
『神曲』には主だったものだけを挙げても、すでに山川丙三郎(岩波書店)、平川祐弘(河出書房)、寿岳文章(集英社)らによる邦訳がありますが、あるものは翻訳の底本が不分明であったり、訳文が現代の読者には難解すぎたり、文章の流れに重きを置きすぎるがために原典に忠実でなかったり、キリスト教世界を描くのに仏教用語を多用して違和感を与えたりと、それぞれに難点がある。これらを克服するために、本訳ではテクストの安定性や信頼性で評価の高いペトロツキ版(1968年刊)を訳出の軸として、原典に忠実でありながら、平明な表現を心がけました。加えて読者の便宜を考慮し、訳注は可能な限り、当該の見開き内に収めました。訳注、各歌解説には、世界的ダンテ学者として名高い故ジョルジョ・パドアンに師事した訳者、『神曲』研究の最先端の成果を盛り込んでいます。
ダンテ『神曲』の訳本の決定版です。
【著者について】
ダンテ・アリギエリ
1265~1321。フィレンツェ出身の詩人、哲学者。ウェルギリウスと並ぶイタリア最大の詩人。本作以外に詩集『新生(La nouva vita)』がある。
原基晶
1967年生まれ。東京外国語大学外国語学部イタリア語学科卒業。同大学院博士前期課程修了。イタリア政府給費留学生。東京学芸大学、お茶の水女子大学講師などを歴任。
現在、東海大学専任講師。
専攻は、イタリア文学、中世ルネサンス文化。
多くの神話画などを描いたウォーターハウスの本。すべてカラーページできれいな本です。
· 川端康雄, 他、『ウォーターハウス夢幻絵画館 (ToBi selection)』、東京美術、2014/01/24
『ローマ建国以来の歴史』の第8巻25章~第10巻
· 毛利昌(訳)、リウィウス『ローマ建国以来の歴史4: イタリア半島の征服(2) (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2014
ウェルギリウス『アエネーイス』の新訳が出ました。『アエネーイス』という文学作品はヨーロッパにおいて非常に重要な位置づけにあり、新訳が出続けており、現在も文化に根差している。それにもかかわらず、日本語においては翻訳の数が非常に少ない。訳者はこの現状を意識しながら、新訳を作成したそうです。
その意図にそって、読みやすさを意識した散文体です。上下二段に分かれて訳されており、ところどころに挿絵、注が加えられています。二段に分かれる形式は久しぶりに見ました。
まだ少ししか読んでいませんが、訳の特徴のひとつは名称がラテン語に準じているところです。例えば、日本語の翻訳では「トロイア」と記すのが一般的ですが、翻訳では「トローヤ」というラテン語の読みに近い表記になっています。また「アイアース」というのも「アーヤクス」と記されます。ちなみに、京都大学出版会の『アエネーイス』は「トロイア」と「アイアクス」と記されます。どちらが良いということではないのですが、ラテン語を訳すとき、この名称をどの片仮名表記にするかは、個人的にいつも悩むので、興味深かったです。
· 杉本正俊(訳)、ウェルギリウス『アエネーイス』、新評論、2013
2013年に発売した西洋古典叢書
· 森谷宇一,他(訳)、クインティリアヌス『弁論家の教育3 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/01/19
· 内田次信, 他(訳)、ルキアノス『偽預言者アレクサンドロス: 全集4 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/02/20
· 城江良和(訳)、ポリュビオス『歴史4 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/03/21
· 中務哲郎(訳)、ヘシオドス『ヘシオドス 全作品 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/05/16
· 伊藤照夫(訳)、プルタルコス『モラリア10 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/06/14
· 丹下和彦(訳)、エウリピデス『悲劇全集2 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/09/10
· 内田次信(訳)、プルタルコス、ヘラクレイトス『古代ホメロス論集 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/10/31
· 田中創(訳)、リバニオス『書簡集1 (西洋古典叢書)』、京都大学学術出版会、2013/12/03
· 川島重成、茅野友子、古澤ゆう子(編)『パストラル――牧歌の源流と展開――』、ピナケス出版、2013/10
新しく書籍が出ました。牧歌詩(パストラル)伝統とその発展について。私も書いています。
内容は以下の通り
序章:パストラル概観(古澤ゆう子)
第一章:テオクリトスの『牧歌』とその先駆者たち(安村典子)
第二章:牧歌の私訴テオクリトスの『収穫祭』(古澤ゆう子)
第三章:旧約聖書におけるパストラル(並木浩一)
第四章:ウェルギリウス『牧歌』に描かれる牧歌世界の危機(河島思朗)
第五章:ウェルギリウス『牧歌』第四歌における黄金時代
――イザヤ書のメシア預言との類似性をめぐって――(川島重成)
第六章:英文学におけるパストラル思想
――シェイクスピア『お気に召すまま』を中心に――(茅野友子)
第七章:ミルトンの『リシダス』『ダモン葬送詩』におけるパストラルの伝統(佐野好則)
第八章:音楽におけるパストラル(金澤正剛)
アルカディアと御殿場――あとがきにかえて――(茅野友子)