現在ではパンテオンから延びるスフロ通り(Rue Soufflot)のところで、ルテティアのフォルム跡が見つかっている。古代ローマ都市においてフォルムはその町の生活の中心地であり、経済・宗教・政治の中心でもあった。また、フォルムは都市計画において基準となる、もっとも重要な道路のそばにあることが多い。スフロ通りにあったフォルムもまた、シテ島へとまっすぐに続く大通りと交差している。その道路は、現在もサン・ジャック通り(Rue Saint-Jacques)として姿をとどめている。フォルムの遺跡自体は、地下に眠り、目にすることはできない。
ルテティアのフォルムは、四方を列柱廊で取り囲まれており、広場と神殿だけで一つの区画を作る構造だった。一方の側面に神殿があり、神殿の対面に司法活動などを行なうバシリカが作られた。左右の列柱廊、およびその背後には商店街が続いていた。また、その列柱廊の一部に都市参事会の集会場であるクーリアがあったと考えられる。