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ティーターン神族の系譜

シーシュポスとメロペーから始まるィーターン神族の系図。
系図および解説等は、「参考文献」をもとにしている。参考文献は「ギリシア・ローマ神話伝説」にまとめた。


 

ティーターン神族の系図





※青字は他の系譜へのリンク


概説

 「ティーターン神族」とは、ウーラノス(天)とガイア(地)とから生まれたオーケアノス、コイオス、ヒュペリーオーン、クレイオス、イーアペトス、クロノスの六男神、テーテュース、ポイベー、テイアー、レアー、テミス、ムネーモシュネーの六女神。この女神たちにディオーネーが加えられることもある。

 「ティーターン神族」は原始の神々であり、クロノスとレアーから生まれた神々は「オリュンポス神族」と呼ばれる。テミス(掟)やムネーモシュネー(記憶)は抽象名詞が擬神化したもの。「ティーターン」という名前は、ティーターン神族の子孫であるプロメーテウス、ヘカテー、レートー、太陽神ヘーリオス、月女神セレーネーをさす場合にも用いられる。

ティーターノマキアー
 クロノスは、ガイアに従ってウーラノスの生殖器を切り取り、父の支配権を奪った。このときオーケアノスだけはこの陰謀に加わらなかった。そのクロノスの支配権をオリュンポス神族のゼウスが奪った。ゼウスはティーターン神族との10年間にわたる戦い(ティーターノマキアー)のあとで、キュクロープスたちを味方にして勝利した。その後、ゼウスはティーターン神族をタルタロスに幽閉し、ティーターノマキアーの際に味方したヘカトンケイル(百手の巨人)たちを見張りにした。ティーターノマキアーは、巨人族(ギガース)との戦いであるギガントマキアーと、古典作家たちによってさえも混同されている。


名称・解説

この系譜で扱った神々や人物の名称、および簡単な解説を列挙。あいうえお順。
アルファベット表記は、ギリシア文字をローマ字に転写したもの。


名称 表記 性別 解説 参照
アシアー Asia オーケアノスとテーテュースの娘。彼女の名前はアシア(アジア)大陸となった。  
アステリアー Asteria コイオスとポイベーの娘。ペルセースに嫁いだ。ゼウスの恋から逃れるために、うずらに変身した。  
アストライオス Astraios クレイオスとエウリュビアーの息子。アストライオスは「星男」を意味する。 系譜:Po 
アトラース Atlas ティーターン神族の一人で、天空を支えている巨人。イーアペトスとアシアー(もしくはクリュメネー)の子。ティーターン神族とオリュンポス神族の戦いの結果、罰として天空を支える者となった。ペルセウスがゴルゴーン退治の帰りに首を見せて彼を石化した。  
イーアペトス Iapetos クロノスとガイアの子で、ティーターン神族の一人。妻はアシアー、もしくは姉妹のクリュメネー。、あるいはアーソーピス。他のティーターンたちとともにタルタロスに落とされた。ギリシアでは彼の名前は古くさい時代遅れの老人の代名詞。  
ウーラノス Uranos 「天」の神。ヘーシオドスではガイアの子。ほかの伝承では、アイテールもしくはニュクスの子。ウーラノスは最初に全世界を支配し、ガイアを妻とした。オーケアノス以外の子供たちがウーラノスを襲い、クロノスがウーラノスの生殖器を切って海に投げ込んだ。その血からエリーニュス(復讐の女神)が、その泡からアプロディーテーが生まれた。ウーラノスの後にクロノスが王位を得た。  
エウリュビアー Eurybia ポントスとガイアの娘。夫はクレイオス。 系譜:Po 
エーオース Eos 曙の女神。アッティカ方言ではヘーオース(Heos)。ローマではアウローラ。 系譜:Po 
エピメーテウス Epimetheus プロメーテウスの兄弟。プロメーテウスが「先に考える」を意味するのに対し、エピメーテウスは「後に考える」を意味する。彼は神々からの贈り物としてパンドーラーを得て、妻とした。 系譜:De
オーケアニス Okeanis 「オーケアノスの娘」の意味。オーケアノスとテーテュースの娘で3000人の姉妹がいたとされる。複数形はオーケアニデス(Okeanides)。  
オーケアノス Okeanos 「水」の神。世界を取り巻く大河、あるいは大洋でを意味する。ウーラノスとガイアの子で、ティーターン神族の一人。テーテュースを妻として、すべての河川と3000人の娘(オケアニス)を生んだ。  
ガイア Gaia 「大地」の神。ゲー(Ge)とも呼ばれる。神話中では、混沌(カオス)からはじめに生まれた原初の被造物であり、すべての神々も人間も彼女を祖とする。 系譜:Po 
クレイオス Kreios ウーラノスとガイアの息子で、ティーターン神族の一人。エウリュビアーを妻とする。 系譜:Po 
クロノス Kronos ウーラノスとガイアの末子。クロノスは母ガイアから渡された黄金の斧で、父親ウーラノスの生殖器を切り落とし海に投げ入れ、支配権を奪った。姉妹のレアーを妻とした。ガイアとウーラノスが、クロノスは自分の子によって支配権を奪われると予言したので、クロノスは自分の子を飲み込んでいた。しかし、レアーによって助けられたゼウスが、成長して、ティーターン神族との10年間の戦いに勝利し、クロノスから支配権を得た。別の伝承では、クロノスは黄金時代の王であり、人類に様々な恩恵をもたらした。そのために、ローマではクロノスはサートゥルヌスと同一視されるにいたった。 系譜:Ol
ケライノー Kelaino プロメーテウスの妻。ただし彼のつまはクリュメネーともされる。ダナオスの娘で、ポセイドーンと交わったともされる。頭部だけ女の鳥、ハルピュイアの一人であるケライノーとは別。  
コイオス Koios ウーラノスとガイアの子で、姉妹のポイベーを妻とした。  
セレーネー Selene 「月」の神。ヒュペリーオーンとテイアーの娘、あるいはパラース、あるいはヘーリオスの娘。月の神であるために、アルテミス(ローマのディアーナ)あるいはヘカテーと同一視される。特に動物の繁栄と性生活に大きな力を持つ。また、常に魔法と関連付けられている。  
テイアー Theia ウーラノスとガイアの娘。兄弟のヒュペリーオーンを夫とする。  
ディオーネー Dione ゼウスの女性形。ウーラノスとガイアの娘だが、異説もある。ゼウスと交わってアプロディーテーを生んだともされる。そのためにアプロディーテーはディオーナイア(Dionaia、ディオーネーの娘)と呼ばれることがある。 系譜:Ol
デウカリオーン Deukalion プロメーテウスとクリュメネーの子。ピュラーを娶った。ゼウスが堕落した青銅時代の人間を大洪水で滅ぼしたときに、プロメーテウスの忠告で箱舟を作って助かった。その後の人間は、両者が投げた母なる大地の骨、すなわち石から生じたとされる。デウカリオーンが投げた石から男が、ピュラーから投げた石が女となった。二人から生まれたヘレーン、アムピクテュオーン、プロートゲネイアは、ギリシア人の祖とされる。 系譜:De
テーテュース Tethys ウーラノスとガイアの娘。オーケアノスの妻となり、世界中の河川の神々と、3000人の娘(オーケアニス)を生んだ。レアーに託されてヘーラーを育てた。  
テミス Themis 「掟」の意味。ウーラノスとガイアの娘で、ゼウスの二番目の妻。 系譜:Ol
パラース Pallas クレイオスとエウリュビアーの子。ティーターン神族の一人。ステュクスを妻とした。 系譜:Po 
パンドーラー Pandora 地上最初の女。「すべての贈り物」の意。ヘーパイストスが泥から彼女を作った。天上から火を盗んだプロメーテウスに対する復讐のためにゼウスが贈った。エピメーテウスは、神々からの贈り物を受け取ってはならないというプロメーテウスの忠告を無視して、彼女を妻とした。彼女は天上からすべての禍が詰まった壷を渡されていた。好奇心からこの壷を開けると、すべての禍が飛び出し、あわててふたを閉めたが、壷に残ったのは「希望」だけだった。  
ヒュペリーオーン Hyperion ウーラノスとガイアの子で、ティーターン神族の一人。姉妹のテイアーを妻とした。ヒュペリーオーンは、しばしばヘーリオスの呼称としても用いられる。  
ピュラー Pyrrha エピメーテウスとパンドーラーの娘。夫はデウカリオーン。デウカリオーンを参照せよ。 系譜:De
プロメーテウス Prometheus イーアペトスとアシアー、もしくはクリュメネー、あるいはテミスの息子。ケライノーあるいはクリュメネーを妻とした。エピメーテウス(後で考える男)の兄弟で、「先に考える男」の意味。神々と人間が犠牲獣の分け前を決めようとしたときに、策略によって、神々が骨と脂身を、人間が肉と内臓とを得ることとした。また天界から火を盗んでかくして持ち出し、人間に与えた。またプロメーテウスはテティスがゼウスの子を得た場合に、その子は父よりも偉大になるということを知っていた。ゼウスの怒りをかったプロメーテウスは、カウカソス山に鎖でつながれ、オオワシにその肝臓を毎日ついばまれた。アイスキュロスの『縛られたプロメーテウス』ではこのことや、人間に与えたあらゆる技術について描かれる。
系譜:De
ヘーリオス Helios 「太陽」の神。ローマのソール(Sol)。ヒュペリオーンとテイアーの息子。妻はペルセーイス。後にアポローンと混同される。  
ペルセース Perses クレイオスとエウリュビアーの息子で、アステリアーを妻とする。 系譜:Po
系譜:Ol
ポイベー Phoibe 「輝く女」の意。ウーラノスとガイアの娘。コイオスの妻。ポイベーはときに、デルポイの神託創設者とされ、孫のアポローンにこれを贈ったとされる。アポローンは、しばしば「ポイボス」と呼ばれるがこれはポイベーの男性形で「輝く男」を意味する。  
ムネーモシュネー Mnemosyne 「記憶」の女神。ウーラノスとガイア、あるいはオーケアノスとテーテュースの娘。ゼウスは彼女と9日間交わって、9人の娘、ムーサたちを生んだ。 系譜:Ol
メーティス Metis 「思慮」の意。オーケアノスとテーテュースの娘。ゼウスの最初の妻で、彼女はクロノスが飲み込んだ子供たちを吐き出すようにレアーに薬を与えた。 系譜:Ol
レアー Rhea レイアー(Rheia)とも呼ばれる。ウーラノスとガイアの娘。クロノスの妻となる(クロノスを参照)。ゼウスをひそかにクレータのイーデー山中で育てた。レアーは大地女神であり、ガイアとの区別がつきにくい。また、大地の女神であるキュベレーやアグディスティスなどと混同される。ローマでは、クロノスと同一視されるサートゥルヌスの妻オプスが、レアーと同一視される。 系譜:Ol
レートー Leto コイオスとポイベーの娘。ゼウスに愛されて、アポローンとアルテミスの母となった。ヘーラーに邪魔されたために、子どもはデーロス島で生んだ。 系譜:Ol

系譜:Ath=アタマースの系譜
系譜:De=デウカリオーンの系譜
系譜:Dei=デーイオーンとミニュアースの系譜
系譜:Kr=クレーテウス、テューロー、ポセイドーンの系譜
系譜:Ol=オリュンポス神族の系譜
系譜:Pe=ペルセウス、ヘーラクレースの系譜
系譜:Po=ポントスの系譜
系譜:Sis=シーシュポスの系譜
系譜:Th=テーバイ王家の系譜
系譜:Ti=ティーターン神族の系譜


関連事項

神名・人名・解説 神名・人名・解説


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このページの最終更新 2007/12/23
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