キュリクス(Kylix)
クリックすると大きな画像を見ることができます。©2008. Shiro Kawashima.
キュリクス(Kylix)
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葡萄酒を飲むために用いられた酒杯。キュリクス(ギリシア語:kylix、ラテン語:calix、英語のchalice「杯、聖杯」と関連することば)は平たい器で両側に取っ手がついている。キュリクスという名称は他の酒杯の総称としても用いられている。上図のように脚柱部のないもの(stemless cup)など、形状によって細かく名前が付けられている。直径20-30cmくらいのものが多い。
下の写真は、キュリクスの中で小分類されるいくつかのタイプ。
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「Little Master」タイプのものには、繊細な図像が描かれることが多かったようです。
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「お祭り騒ぎ、大酒盛り」(コーモス、komos)を描いた絵を持つものが多いので、この名がつけられた。
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目や顔を描いた絵を持つものが多く、そのような杯は特に「アイカップ」(eye cup)と呼ばれる。
スキュポス(Skyphos)
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葡萄酒を飲むためのカップで、キュリクスよりも底が深い形状のものをスキュポスと呼ぶ。10−20cm程のものが多い。
マストス(Mastos)
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マストス(ギリシア語:Mastos、「乳房」の意)。乳房の形をしており、底はとがっている。底部が付いている例もあり、マストス・カップ(Mastos Cup)と称される。
カンタロス(Kantharos)
クリックすると大きな画像を見ることができます。右はルーブル美術館所蔵。©2008. Shiro Kawashima.
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カンタロスは葡萄酒を飲むためのカップで、左右に高い取っ手が付いている。多くの場合、脚部は長い。Kantharosというギリシア語は「コガネムシ」を意味するが、この酒杯との関連はよく分かっていない。10-20cmのものが多い。
リュトン(Rhyton)
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右はルーブル美術館所蔵。©2008. Shiro Kawashima.
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「リュトン(Rhyton)」とは角型の酒杯をさすことば。この酒杯の形状は中近東を起源としている。次第に装飾が施されるようになり、動物の頭部をかたどるようになった。「rhyton」というギリシア語は、「rhysis(流れ)」と同じ「rheo(流れる、注ぐ)」を語源とする。しかしリュトンは、注ぐためのもの(デキャンタ)ではなくて、葡萄酒を注ぎこんだ時に角の穴の中を流れてゆく様子から名付けられた杯であると考えられている。
角型のように下が細くなっている形が多く、注がれた酒を飲み干さなければ置けない構造になっている。ただし、足部が付き、サイズが大きいものは杯としてだけではなく、デキャンタや他の目的のために用いられたと思われる。
大きさは10-20センチくらいのものが多い。
また「リュトン」の中には、下の写真のように、人やサテュロスなどの顔や全身を模ったものもある。このようなリュトンは、特に「頭部型のつぼ」(head-vases)と呼ばれる。
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