アンフォラ(amphora)は、上図のように二つの取っ手がついた壺の総称。アンフォラとは「両側を持って運ぶ」というギリシア語に由来する。オリーブ油、葡萄酒、魚醤(ぎょしょう)、ときには穀物などを貯蔵、運搬した。大きさは大小様々であるが、貯蔵や運搬に使われたので50cm前後の高さで、24-30リットルほどの容量のものが一般的だった。
紀元前15世紀くらいから、地中海で広く用いられていた。アンフォラには美しく装飾されたものもあった。しかし実用的に用いられる場合が多く、壺の表面には所有者、取引相手、内容物、容量などが記載されていた。
またアンフォラは古代ローマでは単位としても用いられていました。単位として用いられる場合、1アンフォラは25.79リットルと定められていました。
ちなみに、メールアドレスなどに使う「@(アットマーク)」はアンフォラに由来するそうです。アンフォラの形を記号で「@」と記し、「@3」というように書いて、「1アンフォラの葡萄酒3デナリウス」とか表したようです。
ネック・アンフォラ(Neck Amphora)
頸部と胴部が区分されているアンフォラを特にネック・アンフォラ(neck-ampnora)と呼ぶ。この形のアンフォラは非常に古くから作られていた。前11世紀頃には幾何学様式の文様が描かれた。前6世紀以降には黒絵や赤絵などの緻密な絵も描かれた(上の写真)。
交易用アンフォラ(Transport Amphora)
下の二つの写真はルーブルで撮った古代エジプト(3100-2700 B.C.)のものです。
Amphores vin. poque thinite, 3100 - 2700 avant J.-C. Abydos, tombeaux des rois Djer, Den, Adjib, Peribsen et Khasekhemouy, des deux premires dynasties terre cuite. H.:68 cm. ;D. :24,80 cm.
葡萄酒などを入れて運ぶ交易用のアンフォラ。上図のアンフォラは「Dressel 1B」と呼ばれるものの形を参考にした。全体的に細長く、底がとがっていて、船に載せる時には穴に差し込んだり、重ね合わせて立てたまま運んだ。上陸後や保管するときには穴のあいた台に置いたり、そのまま地面に突き刺した。上右図は船内でアンフォラを重ね合わせたときのイメージです。下に並べたアンフォラのあいだに上層のアンフォラを差し込んで並べていました。