「虫」の語源といっても、英語の「虫」=「insect」の語源についてです。
ちなみに英語で「昆虫」のことを「insect」と呼びますが、「ミミズ」とか「ウジ虫」のような、にょろにょろした虫のことは「worm」と呼びます。
さて、「insect」(英語)の語源は、「insectum(インセクトゥム)」(ラテン語)です。この「insectum」という言葉は、「切り込みを入れる」という意味の動詞「insecare(インセクターレ)」の過去分詞形から作られた中性名詞です。つまり、「insectum」は「切り込みを入れられたもの」を意味します。
というわけで、英語の「虫」(insect)は「切り込みを入れられたもの」(insectum)に由来しているわけです。「切り込み」とは、もちろん身体を3つに区分している節のことですね。そのために、英語で「insect」は節を有する虫を指し示し、にょろにょろしたものは別の単語「worm」を使うわけです。
ところで、この「worm」は、ラテン語由来のことばではありません。しかし、ラテン語と共通するさらに古い言葉に由来すると考えられています。
ラテン語では「worm」に相当する言葉は、「vermis(ウェルミス)」です。ちょっと似ている気がしませんか?「worm」と「verm」。ラテン語の「vermis」の語源は、「回転する」という意味を持つ「vertere」という動詞です。ラテン語では「転がりながら移動する」ようなうにょうにょした虫を「vermis」と呼んだのです。
そして、「ウェル」というような音を持つ非常に古いことばが、「転がる」という意味を持ち、それがラテン語の「vermis」と英語の「worm」の共通の語源となったと考えられています。
身体に切れ込みが入っている「insect」、うにょうにょ動く「worm」。特徴を捉えていますね。